肩こりからくる目の疲れについて

現代社会では、多くの人々が長時間パソコンやスマートフォンを使用することが日常的になっています。その結果、肩こりや目の疲れを訴える人が増えています。肩こりと目の疲れは密接に関連しており、一方が悪化するともう一方も悪化することがよくあります。ここでは、肩こりからくる目の疲れについて詳しく説明し、その原因と対策を探っていきます。

肩こりと目の疲れの関連性

肩こりと目の疲れは、筋肉の緊張や血行不良が原因で起こることが多いです。特に、デスクワークが多い人や長時間同じ姿勢で作業する人は、肩や首の筋肉が緊張しやすくなります。この緊張が肩こりを引き起こし、その影響が目の周りの筋肉にも及ぶことで、目の疲れが生じます。

肩こりが目の疲れを引き起こす原因

肩こりは、肩や首の筋肉が硬直し、血行が悪くなることで発生します。血行不良は、筋肉に十分な酸素や栄養が届かない状態を作り出し、筋肉の疲労が蓄積します。この状態が続くと、肩や首だけでなく、目の周りの筋肉にも影響を及ぼし、目の疲れを引き起こします。

筋肉の緊張と血行不良

筋肉の緊張

肩こりの主な原因の一つは、肩や首の筋肉の緊張です。長時間同じ姿勢でパソコンやスマートフォンを使用すると、肩や首の筋肉が硬直しやすくなります。特に、デスクワークでは前かがみの姿勢や、目線を下に向ける姿勢が多いため、首や肩の筋肉に負担がかかります。

この緊張が続くと、筋肉は硬直し、柔軟性を失います。硬直した筋肉は血行を阻害し、筋肉に十分な酸素や栄養が届かなくなります。これが、肩こりの初期段階です。

血行不良

筋肉の緊張によって血行が悪くなると、肩や首の筋肉に酸素や栄養が十分に供給されなくなります。同時に、老廃物の排出も滞り、筋肉の疲労が蓄積します。この血行不良が続くことで、筋肉の硬直がさらに進行し、痛みや不快感を感じるようになります。

肩や首の筋肉が硬直し血行不良になると、周辺の血管や神経も圧迫されることがあります。これが、目の疲れや頭痛の原因となります。特に、首の筋肉が緊張すると、脳への血流も影響を受け、目の疲れが増すことがあります。

自律神経の影響

自律神経のバランスの乱れ

肩こりが続くと、自律神経のバランスが乱れることがあります。自律神経は、身体の様々な機能を調整する重要な役割を持っており、特にストレスや疲労の影響を受けやすいです。肩こりによって自律神経のバランスが崩れると、交感神経が優位になり、筋肉の緊張がさらに増します。

交感神経と目の疲れ

交感神経が優位になると、身体は「戦うか逃げるか」の反応を示し、筋肉が緊張し、血管が収縮します。この状態が続くと、肩や首の筋肉だけでなく、目の周りの筋肉も緊張します。目の周りの筋肉が緊張すると、目の焦点を合わせる筋肉も硬直し、ピント調節が難しくなります。これが、目の疲れの原因となります。

神経の圧迫

神経の圧迫による影響

肩こりによって筋肉が硬直すると、首や肩の神経が圧迫されることがあります。特に、頸椎の周りの筋肉が硬直すると、頸椎を通る神経が圧迫されやすくなります。この神経圧迫が、肩こりと目の疲れの関連性を説明する重要な要素です。

頸椎神経と目の疲れ

頸椎には、目の機能を調整する神経が通っています。これらの神経が圧迫されると、目の周りの筋肉に影響を与え、目の疲れを引き起こします。具体的には、目の焦点を合わせるための筋肉が緊張し、ピント調節が難しくなるため、視力低下や目の疲れを感じることが多くなります。

姿勢の影響

悪い姿勢と筋肉の緊張

長時間のデスクワークやスマートフォンの使用は、前かがみの姿勢や首を前に突き出す姿勢をとることが多いです。このような姿勢は、首や肩の筋肉に過度な負担をかけ、筋肉の緊張を引き起こします。

姿勢が目に与える影響

悪い姿勢が続くと、目の位置も自然と変わり、目の周りの筋肉に不自然な負担がかかります。例えば、画面を長時間見る姿勢は、目の筋肉が一定の位置に固定されるため、筋肉が疲労しやすくなります。また、悪い姿勢は血行不良を引き起こし、目の周りの血液循環も悪くなります。これが、目の乾燥や疲れを引き起こす要因となります。

ストレスとその影響

ストレスと筋肉の緊張

ストレスは、肩こりと目の疲れの両方に大きな影響を与えます。精神的なストレスが増えると、交感神経が優位になり、筋肉が緊張します。特に、ストレスが続くと、肩や首の筋肉が常に緊張状態になり、肩こりが慢性化することがあります。

ストレスと目の疲れ

ストレスは、目の疲れにも直接的な影響を与えます。ストレスが増えると、目の周りの筋肉も緊張しやすくなり、目の焦点を合わせる筋肉が硬直します。また、ストレスは睡眠不足を引き起こし、目の疲れを悪化させることがあります。十分な睡眠が取れないと、目の回復が遅れ、慢性的な目の疲れを感じるようになります。

デジタルデバイスの影響

長時間の画面使用

パソコンやスマートフォンなどのデジタルデバイスを長時間使用することは、肩こりと目の疲れの主要な原因の一つです。画面を見続けることで、目の周りの筋肉が緊張し、ピント調節が頻繁に行われるため、目の筋肉が疲労します。また、画面から発せられるブルーライトは、目に負担をかけることが知られています。

ブルーライトの影響

ブルーライトは、高エネルギーの可視光線であり、目の奥まで到達するため、目に大きな負担をかけます。ブルーライトを長時間浴びることで、目の疲れや視力低下を引き起こすことがあります。また、ブルーライトは、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制するため、睡眠の質を低下させることがあります。これが、肩こりや目の疲れを悪化させる要因となります。

肩こりからくる目の疲れの対策

肩こりからくる目の疲れを軽減するためには、以下の対策が有効です。

姿勢の改善

正しい姿勢を保つことは、肩こりと目の疲れを防ぐために非常に重要です。デスクワークをする際は、次の点に注意しましょう。

  • 背筋を伸ばす:背筋をまっすぐに伸ばし、自然な姿勢を保ちます。背中を丸めたり、前かがみになったりしないように注意しましょう。
  • 肘を90度に曲げる:キーボードやマウスを操作する際、肘を90度に曲げ、肩の力を抜くようにします。
  • 画面の高さを調整する:パソコンの画面の高さを目の高さに合わせ、首を前に出さずに自然な姿勢で画面を見ることができるようにします。

定期的な休憩

長時間同じ姿勢で作業を続けることは、肩こりや目の疲れの原因となります。定期的に休憩を取り、肩や目の周りの筋肉をリラックスさせることが重要です。

  • 20-20-20ルール:20分ごとに20秒間、20フィート(約6メートル)離れた物を見るようにします。これにより、目の筋肉をリラックスさせることができます。
  • ストレッチ:休憩時間には、肩や首のストレッチを行い、筋肉の緊張をほぐします。肩を上下に動かしたり、首をゆっくり回したりすることで、筋肉の疲労を軽減できます。

マッサージ

肩や首のマッサージは、筋肉の緊張をほぐし、血行を促進する効果があります。自宅でできる簡単なマッサージ方法を紹介します。

  • 肩甲骨のマッサージ:肩甲骨の周りをゆっくりと指圧し、筋肉をほぐします。
  • 首のストレッチ:首を左右にゆっくりと倒し、筋肉の緊張をほぐします。
  • 眼球のマッサージ:目を閉じて、目の周りを優しく指でマッサージします。これにより、目の周りの血行が良くなり、目の疲れが軽減されます。

適切な環境作り

作業環境を整えることも、肩こりや目の疲れを防ぐために重要です。

  • 照明の調整:作業スペースの照明を適切に調整し、目に優しい環境を作ります。明るすぎる照明や暗すぎる照明は、目の疲れを引き起こす原因となります。
  • 椅子と机の高さ:作業スペースの椅子と机の高さを調整し、自然な姿勢を保てるようにします。特に、肘が90度に曲がる高さに調整することが重要です。
  • モニターの位置:パソコンのモニターは目の高さに合わせ、画面が見やすい位置に配置します。モニターが低すぎると、首を前に出す姿勢になりやすく、肩こりの原因となります。

目のケア

目の疲れを軽減するためには、適切な目のケアが必要です。

  • 定期的なまばたき:パソコン作業中は、意識的にまばたきを増やすようにしましょう。まばたきは、目の乾燥を防ぎ、目の疲れを軽減します。
  • 目の体操:目の体操は眼球の周りの筋肉に血行を促すことで筋肉を柔らかくしてくれます。肩や腰のストレッチをするのと同じで目も適度に動かすことが大事です。
    前を見た状態から目だけを左右、上下に数秒ずつ動かすだけで目の筋肉が和らぎます。
  • 温かいタオルで目を温める:目を温めると結構が良くなり目の筋肉がほぐれて楽になります。
    温めたタオルで瞼全体を温める事で目の疲れが取れやすくなります。
    また、温めたタオルの上からゆっくり優しい力でツボを押すと更に効果を発揮しやすくなります。タオルは蒸した方がじんわりと温まりやすいので濡らして適度に絞ったタオルをラップで包み電子レンジで30秒~60秒ほど温めれば完成です。温度を見ながら目に当てる必要があるのですぐに目に当ててしまうとかなり熱くなっている場合もあるのでやけどに注意しましょう。目を閉じて瞼の上にタオルをかぶせて5分~10分程度暖めるようにしてください。
    ただ、目が充血している程の場合は炎症を取るために冷やした方がいいのでタオルを濡らしてジップロックなどに入れてから冷蔵庫で冷やすと冷やしタオルができるので症状に合わせて使い分けてみましょう。

適度な運動

適度な運動は、肩こりや目の疲れを防ぐために非常に効果的です。特に、全身の血行を良くする運動が推奨されます。

  • ウォーキング:毎日30分程度のウォーキングを行い、全身の血行を促進します。
  • ヨガ:ヨガは、筋肉の緊張をほぐし、リラックス効果があります。特に、肩や首のストレッチを含むヨガのポーズが効果的です。
  • ストレッチ:日常生活にストレッチを取り入れ、筋肉の緊張をほぐします。特に、肩や首のストレッチを重点的に行います。

目の疲れに効果的なツボ

睛明(せいめい)

目の内側の目頭と鼻の付け根の窪みにあるツボです。
目の疲れ、緑内障、白内障などの目の疾患などに効果的なツボが睛明です。
睛明は視力を回復させて目の疲れやかすみを改善させる効果や涙の排出をよくさせる効果もあるのでドライアイなどにも有効てきです。他には目の充血から痛みなどにも良いとされているので、デスクワークなどで長時間のパソコン操作や細かい物を見ての作業される方にお勧めです。

太陽(たいよう)

眉毛の外側と目尻の目の外側を結んだ線の真ん中から少し外窪みがあるツボが太陽です。
目の疲れやかすみに効果的で目の周りの筋肉の緊張をほぐしてくれます。
このツボは肩こりからくる片頭痛や眼精疲労、めまい、目の充血などにも効果的です。

魚腰(ぎょよう)

眉毛の真ん中のくぼみのツボが魚腰です。
目の充血や腫れ、目のかすみなどに効果的です。

絲竹空(しちくくう)

目尻の下の骨の縁に沿った窪みにあるツボです。
目の疲れや頭痛に効果的です。

天柱(てんちゅう)

後頭部の髪の毛の生え際にある頭の骨を触ると真ん中に窪みがあります。
その窪みから左右に指2本分外側にあります。
肩こり、眼精疲労、めまい、自律神経の不調に効果的で目の反射区にもなっているのでじんわり聞いてきます。また、肩こりからくる頭痛をすぐにでもなんとかしたいと思ったときに天柱を押すと一気にすっきりします。

まとめ

肩こりからくる目の疲れは、現代社会において多くの人々が経験する問題です。しかし、正しい姿勢を保ち、定期的な休憩を取り、適切な環境を整えることで、これらの問題を軽減することができます。さらに、目のケアや適度な運動を行うことで、肩こりや目の疲れを防ぐことができます。

肩こりや目の疲れを軽減するためには、日常生活の中で小さな工夫を積み重ねることが重要です。この記事を参考に、自分に合った対策を取り入れ、健康的な身体を作りましょう。

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